お金の読み物

現役銀行員が本音を伝えていきます。

実際にあったお客さまのケース①「妻が勝手に自分名義のローンを組んでいたせいで住宅ローンが組めなかった」

私たち金融機関の職員は様々なお客さまの相談を受ける中で驚くような事例もまれにあります。

 

その一つがタイトルの通り、奥様が夫名義で多数のカードローンを組んでおり、いざ住宅ローンを申し込もうとした際にローンが通らなかったという事例です。

 

そのお客さまから「住宅の建築をしようと思う」という相談を受け、契約前に先に返済能力だけを審査する事前審査をご案内しました。

 

審査内容を見ると、多数のカードローンの保有が発覚し審査は不承認となりました。

ここまではよくあることではありますが、不承認の旨をお客さまにお伝えすると、

 

「なぜローンが通らない!今までローンも組んだことがないし、年収からの返済能力も問題がないはずだ!」

 

と大変お怒りになられました。しかしながら、金融機関が審査の過程で知ったお客さまのローン状況はお教えすることができませんし、ましてや審査が通らなかった理由は金融機関の審査基準をばらしてしまうことになるので理由もお教えすることができません。

 

そういった方にはCICなどの個人信用情報機関で、ご自身のローンの保有状況等を確認されると今後の参考になるかと思います。と信用情報の開示をご案内します。

 

このお客さまも文句を言いながら開示請求をしてくださったのですが、案の定多数のカードローンの情報が出てきました。

 

はじめは嘘をついておられると思ったのですが、この時の驚きようから本当にご存じなかったことがわかり、犯罪に巻き込まれて名義を悪用された可能性を考えましたが、身内の可能性も考え、一度家で相談するとおっしゃりその日はご帰宅されました。

 

翌日お客さまからご連絡があり、奥様が夫名義でカードローンを申し込んでいたとのことでした。

 

身内での名義の悪用は今まで経験がなかったので信じられませんでしたが、よく考えてみれば申込書の代筆も夫の本人確認書類も配偶者であれば可能です。

 

ではなぜ奥様が夫名義のカードローンを多数作る必要があったのでしょうか。

 

後日、ご夫婦と面談してお話を伺ったところ、家計の管理は奥様が行っていたが、夫が付き合いの飲み会やゴルフが多く、お金が足りなくなったと言われるたびに貯金をくずして渡していたが、とうとう手持ちの夫名義のクレジットカードのキャッシング枠に手を出してしまい、さらに翌月からは返済も始まるためキャッシングの利用を続けていくうちに限度額がいっぱいになってしまい、新たにカードを作る必要があったが専業主婦の自分ではカードに申し込めないと思い、夫名義で申し込んだとのことでした。

 

そこからは雪だるま式にカードを作っては限度額いっぱい使い、ローン残高は400万円に達していました。

 

奥様もいつか言わなくてはという気持ちで生活しており、悪いことをしている自覚はあったが、本当に打ち明けることができて助かったとおっしゃっていました。

 

いつも現金がなくて、スーパーやコンビニでもカード払いしかできない生活は本当に惨めで辛かったそうです。

 

お客さまもご自身 がまったく家計に関与しなかったことや、散財していたことから深く反省し、当行の借り換えローンでカードローンを一本化して返済金額を抑え、延滞情報がなかったことも幸いし、無事住宅ローンを組むことができました。

 

こういった例は極端ですが、金融機関の審査が通らなかったとき、理由は原則教えてもらえません。

 

もし、融資審査にひっかかって、理由が思い当たらなかったら一度信用情報の開示をしてみるのもいいかもしれませんね。